2008年12月3日水曜日

(コラム)中国四川省震災寄付金事業を経験して

中国四川省震災寄付金事業を経験して
【コラム】サーチナNews 2008/12/03(水) 16:30
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1203&f=column_1203_005.shtml



中国四川省震災寄付金事業を経験して
日本経営管理教育協会が見る中国 第23回-下崎寛(日本経営管理教育協会会員)

◆日本で寄付金を募集
  2008年11月に日本の化粧品会社の四川省震災寄付金事業を経験してきた。その会社は、四川省から麝香(じゃこう、ジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を乾燥したもので、漢方薬として化粧品の香料に利用、ワシントン条約により規制を受けている)を輸入している。2008年5月の四川省震災被害に対する支援として、会社で日本の販売員さんから寄付金を募り、500万円集まったことから、四川省に寄付することになった。
◆震災復旧は地方政府の建物から
  四川省を訪問して感じたことは、まだ、四川省の省都である成都と北の都市との道路の整備が完了しておらず、観光地である九賽溝には成都から飛行機でないと行けないため、観光客が3分の1くらいになっていること(それでも観光客がいることで、中国も裕福となったものと思う)、11月中旬から雪が降り道路、建物の改修が遅れていること、その半面、各地方政府の建物とその周辺については、区画整理が行われ立派な建物が建てられていることであった。
◆小学校図書室の建物寄付を諦める
  寄付金では、形が残らず、何に使われるか疑問が残ることから、現地に直接建物など現物を寄付することとした。当初は、小学校の図書室等を寄付することとして、少数民族チベット族が多い四川省九賽溝県の教育局と交渉した。そこでは、中国の小学校等の教育機関は愛国主義教育の現場なので、中央政府から許可が必要であり、とくにチベット族の地域では外国からの寄付金、日本からの寄付金は、非常に難しいとの話があった。お国柄の問題なのかなと驚き、その計画は中止した。
◆幼稚園に楽器の寄贈へ
  次に、地元の担当者と協議しているなかで、市政府の幼稚園については、規制が緩く、現在200名の幼稚園児がおり、仮設の建物で教育しているものの電子ピアノ等の楽器が不足していることが解った。楽器等については、寄贈が簡単であり、数量も豊富に提供できることから、音楽教室を作ってもらい、電子ピアノ20台、カスタネット、トライアングル等楽器小物を寄付することにした。
◆一筋縄でいかなかった寄贈
  寄贈する楽器などに日本の会社の名前を入れることはできない、贈答式はできない、写真を撮ることはだめだなどといろいろ注文をつけられた。協議した結果、私の関係会社である中国のコンサル会社を寄贈者とし、その社長と日本の会社の社長とが同席した贈答式を行い、併せて記念写真を撮ることで了解を得た。なかなか中国の事情を知らないとことがスムーズにいかないことを痛感した。また寄贈物の購入費用以外に各種の費用が必要なことも勉強させられた。
 写真のように、200名の幼稚園児に大歓迎された。多分1か月前から練習していたと思われ、子供はどの国も素直で美しいものと感動した。
(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会員)

下崎寛(しもざき ひろし)中小企業診断士、税理士、不動産鑑定士、行政書士、1951年北海道生まれ、中央大学卒、1985年開業、相続、資産税業務を専門にし、併せて不動産コンサルを中心に活動、現在は中国北京、広州に事務所、杭州に日本語学校を開設しており、中国進出企業の支援、また日本に進出している中国企業(羊しゃぶしゃぶ「小尾羊」等)の支援も展開中。


 一般ニュースとは異なりますが、非常に興味深い、事実に基づいた報告だったのでクリッピング。「チベット族の地域に外国からの寄付受け入れ(について中央政府から許可を取るの)が難しい」という現地政府の見解は、中国内地の漢民族からチベットへの寄付がものすごく奨励されている(“希望工程”など)を思うと、なかなか興味深いものがあります。

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