2008年11月29日土曜日

中国 エアバス納入延期通告

NEWS25時:中国 エアバス納入延期通告
毎日新聞 2008年11月29日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20081129ddm007030080000c.html


NEWS25時:中国 エアバス納入延期通告
 欧州航空機大手エアバス社(本社・仏南部トゥールーズ)は27日、中国への旅客機計150機の納入が中国側からの通告で延期されたと発表した。サルコジ仏大統領が12月6日に予定するチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との会談を理由に、中国は同1日に仏東部リヨンで温家宝首相が出席予定だった欧州連合(EU)中国サミットの延期を発表していた。納入延期の通告もこれに伴う措置としている。【パリ】
毎日新聞 2008年11月29日 東京朝刊

チベット支援の方針協議 インドで30カ国代表

チベット支援の方針協議 インドで30カ国代表
2008/11/29 18:13 【共同通信】http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112901000448.html

チベット支援の方針協議 インドで30カ国代表
 【ムンバイ29日共同】インド・ニューデリー近郊のハリヤナ州で29日、日本をはじめとする約30カ国からチベット支援者らが集まり、チベット問題への今後の支援の在り方などを協議する会議が開幕した。会議では、今月22日の亡命チベット人緊急会議での決議を尊重し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が進める対中国政策の「中道アプローチ」維持への支持を表明するとみられる。
 ダライ・ラマは支援者会議の意見を聞いた上で、最終的に今後の対中方針を決定するとしている。
 チベット亡命政府によると、支援者による会議は12月1日までの3日間。日本や欧州、インドなどのチベット支援団体代表ら約100人が出席するが、ダライ・ラマは欧州などを訪問中で、会議には参加しない。
 ダライ・ラマは、独立ではない「高度の自治」を求める中道アプローチによる中国との対話は失敗したと認めた。そのため、今後の対中方針を決定するに当たり、緊急会議で亡命チベット人の意見を集約したほか、チベット問題には国際社会の支援が不可欠として、各国の支援団体代表などの意見も聴取する民主的な手順を踏んでいる。
2008/11/29 18:13 【共同通信】

2008年11月28日金曜日

仏との関係悪化を警告 中国、ダライ・ラマ会談で

仏との関係悪化を警告 中国、ダライ・ラマ会談で
2008.11.28 00:15
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081128/chn0811280015000-n1.htm



仏との関係悪化を警告 中国、ダライ・ラマ会談で
2008.11.28 00:15
中国外務省で記者会見する秦剛副報道局長=27日午後(共同)
 中国外務省の秦剛副報道局長は27日の定例記者会見で、フランスのサルコジ大統領らがチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談することなどを理由に、欧州連合(EU)との首脳会議の延期を通告したことに関連し「フランス側が両国の協力関係維持に努力するよう期待する」と述べ、会談が実現すれば関係が悪化すると警告した。
 秦副局長はさらに、ポーランドのワレサ元大統領がダライ・ラマと会談を予定していることに対しても「いかなる形式でもダライ・ラマと接触することに強く反対する」と批判した。
(共同)

中国、チベット政策は変えず

中国、チベット政策は変えず
(NIKKEI NET(日経ネット):2008年11月28日)http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081125AT2M2503725112008.html


中国、チベット政策は変えず
 【北京=佐藤賢】中国外務省の秦剛副報道局長は25日の記者会見で、亡命チベット人総会が「中国側が態度を軟化させるまで対話を中断すべきだ」との決議を採択したことについて「中央政府の立場は明確で一貫している」と述べ、チベット政策を変えない立場を強調した。中国側に軟化の兆しは見えず、対話の再開は難しくなりそうだ。
 秦副局長は、フランスのサルコジ大統領が12月にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談する予定であることについて「いかなる形式での接触にも断固反対する」と強調。「二国間関係発展の大局を維持するよう希望する」とけん制した。(00:08)

2008年11月26日水曜日

亡命人社会に世代対立 チベット青年、年配者は『独立』

亡命人社会に世代対立 チベット青年、年配者は『独立』
2008年11月26日 東京新聞朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008112602000116.html


【国際】亡命人社会に世代対立 チベット青年、年配者は『独立』
2008年11月26日
朝刊
 先ごろインドで開かれたチベット亡命政府の緊急会議では、中国との対話を通じ自治拡大を目指すチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の中道路線が再確認された。しかし若い世代を中心に独立を求める声は強い。封印された亡命チベット人社会の世代間ギャップが、中国の強硬路線と相まって再び表面化する可能性もある。
 「強い独立志向は、六十歳以上の年配者と三十歳以下の若者に共通している」。会議の出席者の一人は二十五日、本紙に意外な事実を明かした。
 独立の主張は「チベット青年会議」や「チベット自由学生連盟」などに加え、海外から参加した若者も同様だったという。
 「中間の世代は現状では独立が無理なことを熟知し、対中妥協に傾きがち」(同出席者)になる。だが海外育ちで中国による支配の実態を知らない若い世代は独立に「夢」を懸ける。この点が、かつて中国と直接戦い、長年独立を目指してきた年配者と一致。亡命政府の中枢を握る中間世代は、青年と年配層に挟み撃ちされているといえる。
 対中対話停滞の背景には、経済膨張を続ける中国からのプレッシャーに加え、亡命チベット人社会のこうした路線対立が足かせになってきた事情もある。
 緊急会議は「亡命チベット人の意思統一と、ダライ・ラマの求心力回復」(同出席者)による対中交渉の仕切り直しが焦点だった。しかし世代交代が進めば再び「独立か自治か」で亡命人社会が揺れる事態も予想される。
 (外報部・浅井正智)





 「意外な事実」か……。「封印されてきた世代間ギャップ」ね……。「チベット自由学生連盟」ってSFTだよね……(すっかり過激派扱いだ、ははは)。えーと、うまく解説つけられなくてすいません。

2008年11月24日月曜日

ダライ・ラマ静観 チベット人会議「中道」継続提案に

ダライ・ラマ静観 チベット人会議「中道」継続提案に
朝日新聞2008年11月24日0時58分http://www.asahi.com/international/update/1124/TKY200811230193.html



ダライ・ラマ静観 チベット人会議「中道」継続提案に
2008年11月24日0時58分
会見に応じるダライ・ラマ14世=インド北部ダラムサラ、小暮写す
 【ダラムサラ(インド北部)=小暮哲夫】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は23日、亡命チベット人の特別会議が対話を通じて高度な自治を獲得する「中道路線」の継続を提案したことについて、記者会見で「議論は継続中で、今は何も言わない」と述べ、今後の議論を見守る姿勢を示した。
 ダライ・ラマは23日、ダラムサラの中央寺院で会議参加者と会い、「亡命議会が会議での意見に基づいて審議する。即座に決められる事柄ではない」と話した。
 その後に臨んだ記者会見では、29日から12月1日にニューデリー近郊でチベット人を支援する外国人の会議があることに触れ、「支援者の意見も聞く責任がある」と語った。「(亡命政府の首席大臣を選挙で選んだ)01年以来、政治指導者としては半分引退し、年配の顧問のような身だ」とし、一歩ひいて路線決定を見守る立場を強調した。
 会議を前に「中国指導部に失望した」と語った真意については「3月のチベットでの抗議行動で、中国政府が現実を直視すると期待した。5月の非公式対話の前に胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が対話に真剣な姿勢を表明したことで、変化への期待は膨らんだ。だが、7月の公式対話で態度が硬化し、チベットでは抑圧しか起きなかった」と説明した。
 ダライ・ラマは一方で、「私の中国の人々への信頼は揺らいでいない」とも発言。近年、海外在住の中国の知識人や民主活動家との対話を重ね、「多くの中国の知識人はチベットの自治を支持している」と話した。
アサヒ・コム

2008年11月23日日曜日

「後継に女性の可能性も」とダライ・ラマ

「後継に女性の可能性も」とダライ・ラマ
(2008年11月23日18時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081123-OYT1T00453.htm?from=nwla

「後継に女性の可能性も」とダライ・ラマ
 【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は23日、当地で記者会見した。
 ダライ・ラマは、前日閉幕した亡命チベット人臨時総会で採択された、中国当局との対話一時停止を呼びかける提言について「まだ最終的な結論ではない」と述べ、中国への特使派遣をやめるかどうかなどは明言を避けた。
 提言は、「これまでの中国政府の態度を見れば、特使派遣は見送るべきだ」としているが、ダライ・ラマは、11月末にニューデリー近郊で行われる国際支援団体会合などを挙げ、「我々にはすべての支援者の意見に耳を傾ける責任がある」と指摘。
 中国の枠内で「高度な自治」実現を目指す路線継続に総会で過半数の支持が示されたことについても、「ノーコメント」として、対中政策はなお慎重に検討する姿勢を強調した。
 ただ今春、中国チベット自治区などで発生した暴動に関しては、「ラサにやって来た不審な一団が投石や放火を始めたとの情報がある」として中国側の工作があった可能性を改めて指摘。事実関係の十分な調査が行われていないとして中国政府の対応を強く批判した。
 自身の後継問題では「チベット人民の過半数が望めば、ダライ・ラマ制度自体が廃止されてもかまわない」と述べる一方、今後自身の転生者を探す場合は「(転生者が)女性の可能性もある」と語るなど、明確な方針が固まっていないことをうかがわせた。
(2008年11月23日18時40分 読売新聞)





 「明確な方針が定まっていない」と言われても「ううむ」と考えてしまうんで、難しいところです。“後継問題”という用語を使うから、まるで、ダライラマ14世自身が「次は○○さんに決めた」と指名できるかのような誤解を招きかねません。とはいえ、歴代の中には、亡くなる前に「××の方角を見よ」とヒント(?)を言い残す方もいたように聞いてますから、まったく故人の遺志が反映されないってことはないのでしょうけど。
 ……ええと、要するに、ダライラマの転生者というのは、この生を終えたダライラマが49日後に胎内に次の生として宿り、生まれ、物心つく2~3歳になって初めて候補者捜しができるようになりますんで、まだ存在していないわけで。
 女性の可能性もあるというのは盲点で、そういわれれば「女性にはならないのか」という疑問はなかったなあ、と考えたり。知り合いから「どういう意味なんだ? なにかすごい発言なのか? 天皇みたいに皇室規範で『男』って決めたような決まりがあるのか?」と尋ねられました。尼僧のトゥルクがいてもいいわけで。ただそうなるとセラやデプンで修行するわけにいかなくなるな……どうするんだろ(笑)。

2008年11月22日土曜日

チベット人組織代表者会議:投票の7割「中道路線」支持

チベット人組織代表者会議:投票の7割「中道路線」支持
毎日新聞 2008年11月22日 東京朝刊http://mainichi.jp/select/world/news/20081122ddm007030109000c.html

チベット人組織代表者会議:投票の7割「中道路線」支持
 【ニューデリー栗田慎一】インド北部ダラムサラで開かれている亡命チベット人諸組織の代表会議は21日、参加した約550人によるチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の「高度の自治」を中国に求める中道路線の是非を問う投票があり、有効投票の約7割が中道路線を支持、約3割が「独立」を求めた。複数の会議参加者が毎日新聞に明らかにした。
 ダライ・ラマの路線を巡り、インドを拠点にする亡命チベット人組織の全15団体が参加して投票するのは初めてで、中道路線の継続が事実上決まった。独立を求めたのは「チベット青年会議」など数組織とみられる。またこの日、02年以降続いた中国との対話について「失敗」と総括した。
毎日新聞 2008年11月22日 東京朝刊

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止
朝日コム2008年11月22日21時38分http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200811220232.html

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止
2008年11月22日21時38分
 【ダラムサラ(インド北部)=小暮哲夫】インドのダラムサラで開かれていた亡命チベット人による特別会議は22日、中国との対話で高度な自治の獲得を目指す「中道路線」を継続するものの、現行の協議を不満とし、特使の派遣を中断すべきだとの提案を採択した。また、中国側が前向きな対応をしなければ、独立要求をする以外に選択肢はないとしている。しかし、中国側が歩み寄る可能性は低く、打開への道筋は見えない状況だ。
 提案はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世に提出される。これを受けてダライ・ラマは23日に会見を予定しており、発言内容が注目されている。
 提案はまず、ダライ・ラマについて「内外のチベット人の指導者であり、引き続き指導者の地位にあることを求める」とし、ダライ・ラマの決定には従うと明記。これまでの「中道路線」への支持が多数だとしたうえで、中道路線が成果を出せない場合には独立要求路線に転じる含みを残した。記者会見した亡命チベット代表者議会のドルマ・ギャリ副議長は、対話の中断について「今やボールは中国側にある」と述べた。
 今回の会議は、中道路線の行き詰まりに批判が出始めた中で、今後の路線を議論するためにダライ・ラマが招集した。参加者によると、議論をした15の分科会では「中国は自治要求を拒絶した」「チベットは歴史的に独立国家だった」といった意見が独立要求派から出た。しかし、独立要求は全体の2、3割程度にとどまったという。
 背景には、中国が実質的な自治すら認めない状況で「独立要求は困難」との現状認識がある。参加者のテンジン・チョウゲルさん(37)は「独立はみんなの理想だが、流血の事態を防ぎ、前向きな結果が見込めるのは自治を求める路線だ」と話した。
 各分科会では、国際社会に中国の「圧政」への理解を深めてもらう努力や、一般の中国人との協力関係構築を説く意見が相次いだ。内外からの圧力で、中国政府に前向きな変化を促す狙いだ。
 ダライ・ラマにとっては今回の会議は、過去には目立たなかった自らの路線への批判が顕在化する中で「自らの求心力を再確認する意味があった」と、会議に参加したペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授は指摘する。議論を通じて亡命チベット人の団結を促す狙いもあったようだ。
 会議では結局、ダライ・ラマの現行路線が支持された形だが、中国との対話の中断が効果を生む可能性は低く、手詰まり感は否めない。
 急進派のチベット青年会議のリグジン総裁は「我々の組織は独立を求め続ける」と話しており、状況の進展がなければ一気に独立要求派が力を得る可能性もある。

2008年11月21日金曜日

「中道路線」維持の見通し=亡命チベット人会議閉幕へ

「中道路線」維持の見通し=亡命チベット人会議閉幕へ
(時事ドットコム 2008/11/21)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008112100544


「中道路線」維持の見通し=亡命チベット人会議閉幕へ
 【ダラムサラ(インド)21日時事】
 チベット問題解決への運動方針を話し合うため、各地の亡命チベット人代表を集めてインド北部のダラムサラで17日に開会した特別会議は21日、討議をほぼ終了した。中国からの独立ではなく自治拡大を目指すチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の「中道路線」を支持する声が目立ち、関係者の間では運動方針に大きな変更はないとの見方が優勢だ。
 特別会議では、日本を含む各地の亡命チベット人代表約560人が15のグループに分かれて実質討議を重ねた。複数の会議筋によれば、代表の圧倒的多数が中道路線か、「法王(ダライ・ラマ)の示した道」への支持を表明、独立要求の意見は少数にとどまった。 代表の1人で亡命チベット代表者議会(国会に相当)のトゥブテン・カルジェ議員は「中道路線を維持し、国際社会を通じて中国への圧力を強化するしか現実的な方法はない」と話した。
 ただし同議員によれば、中国が自治拡大に否定的な現在の姿勢を一定期間内に改めない限り、運動方針を変えるべきだとする「条件付き」の中道路線支持派が相当数に上っており、22日の閉幕に際してまとめられる「勧告」に反映されるとみられる。(了)
(2008/11/21-23:51)

2008年11月20日木曜日

チベット人組織代表者会議:亡命50年、強まる閉塞感 対話路線手詰まり

チベット人組織代表者会議:亡命50年、強まる閉塞感 対話路線手詰まり
毎日新聞 2008年11月20日 東京朝刊http://mainichi.jp/select/world/news/20081120ddm007030029000c.html


チベット人組織代表者会議:亡命50年、強まる閉塞感 対話路線手詰まり
 インド・ダラムサラで17日開幕した、亡命チベット人諸組織の代表者会議。中国・チベット自治区などの「高度な自治」を求めるダライ・ラマ14世に対し、「自治よりも独立」を望む強硬論もあるものの、中国側は一貫して自治要求にも応じない。1959年のチベット動乱でダライ・ラマがインドに亡命して来年で50年。中国との対話進展の見通しが立たないなか、亡命チベット人社会には閉塞(へいそく)感が強まっている。
 「中国との対話は失敗に終わった。これは中国の責任であり、我々はダライ・ラマの中道路線を再考する必要がある」。インド北部ダラムサラで亡命チベット人諸組織の代表者会議が始まった17日、開会を宣言した亡命議会のドルマ・ガリ副議長は、参加者にチベット語で語りかけた。
 会議に参加したのは、ダラムサラやデリーなどインド国内を拠点にしている亡命チベット人組織計15団体の幹部ら551人。会議で、チベット側から中国への強い不信感が示された背景には、中国の求めに応じて作成したとされる、チベット側の具体的要求を盛り込んだ「覚書」を、中国側に「一蹴(いっしゅう)された」ことがある。
 亡命政府によると、7月、中国とチベットの非公式対話で、中国共産党統一戦線工作部の杜青林部長らがチベット側のロディ・ギャリ特使に対し、チベット側の具体的な構想を知りたいと求めた。このため、ダライ・ラマの同意を得て覚書を作成し、10月末に中国側に提示。それなのに中国はこの内容を一切受け入れなかったという。
 「チベットの独立要求」を公言してきた「チベット青年会議」のシバン・リグジン議長は、「中国の本音がこれで分かった」と話す。急進的な青年会議は、「高度な自治」を求めるダライ・ラマら亡命政府上層部の「中道路線」と一線を画すが、若いチベット人の支持を得て無視できない存在となっている。
 ダライ・ラマが11月の来日で、「中国への信頼はなくなりつつある」と発言したのは、対話路線が進展しないなか、亡命社会に広がる指導部批判をかわす狙いもあった。代表者会議の開催は不満のはけ口の役割もある。
 ただダライ・ラマの秘書によると、17、18両日の各団体代表による演説で、「独立」を求めた団体はなかった。亡命政府閣僚のアカリャ・ヤシ氏は、「チベット社会は世代交代など大きな転換期を迎えている。チベットを知らない若い世代に、どうチベットの誇りと文化を引き継ぐか、それが真の懸案なのだ」と語った。【ニューデリー栗田慎一】

 ◇独立警戒、妥協余地なし--中国
 「世界のどの国がチベット独立を承認しているというのか」。中国外務省の秦剛副報道局長は18日の定例会見で、亡命チベット人諸組織がダラムサラで代表者会議を開催したことに、強く反発した。
 中国政府にとってチベットは、未統一の台湾や植民地だった香港、マカオとは根本的に異なる問題だ。中国側はダライ・ラマが求める「(自治区以外のチベット人居住地域を含めた)大チベットでの高度の自治」についても「事実上の独立要求」とみなし、拒否してきた。
 しかし、今年3月のチベット暴動をきっかけに国際社会の対中批判が高まり、中国政府は北京五輪を前にしてダライ・ラマの特使との非公式協議を再開した。ただ、暴動後3回目、五輪後初めてとなった今月上旬の協議でも大きな進展はみられず、協議は平行線をたどっている。
 さらに、中国側担当の杜青林部長は特使に対して、「チベットの独立、半独立、形を変えた独立は認めない。ダライ・ラマは政治的主張を抜本的に正さなければならない」と要求し、代表者会議を前にクギを刺した。
 17日付の中国紙「環球時報」は会議について、「(チベット側が)中央政府に圧力をかけて交渉カードを増やそうとたくらんでいる」と分析し、中国側の警戒感をにじませる。一方、チベット問題に詳しい北京の外交関係者は「チベット側が、五輪をきっかけに領土保全の問題で中国から妥協を引き出せると考えるのは甘いのではないか」と指摘している。【北京・浦松丈二】
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■亡命政府が公表した「覚書」要旨
・チベット人はチベット高原に居住し、行政区に関係なくひとつの民族である
・チベット人の自治政府は中国の憲法を順守し、分離・独立を目指さない
・ダライ・ラマはチベットにおいて政治的な事務所の開設を永久に放棄する
・チベットの治安維持にはチベット人の参画が求められる
・チベットの文化や言語、宗教や教育、知識などの継承と発展は、チベット人の手で担われ、保護されるべきだ
・アジアの巨大河川の源流であるチベットの環境破壊が深刻。チベットの伝統的な方法に基づく保護が必要
【ニューデリー支局】
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■ダライ・ラマ14世--08年中の主な発言
●「中国、インドの両大国の間にあるチベットはアジアの平和にも大きな意味を持つ」(11月4日、北九州市で講演)
●「武力を使うことに対して心から嫌気がさしている。中でも原爆は二度と使ってはならないという気持ちが(世界的に)高まっている」(同月3日、北九州市で記者会見)
●「(中国との対話路線について)前向きな変化をもたらしていないとの批判が、チベット人の間で強まっている」(同月3日、東京都内の日本外国特派員協会で会見)
●「チベット人は『死刑宣告』を受けたと同じ」「私は中国人民を信頼するが、中国政府への信頼はなくなりつつある」(同月2日、東京都内で記者会見)
●「中国の容赦ないチベット弾圧は、自分が支持しない独立要求をかえって鼓舞する結果になっている」(5月22日、英下院外交委員会で証言)
●「私には反中国というイメージが作られてきたが実際は違う。独立を求めているのではなく、自治がほしいだけ」「私は悪魔ですか? 私は人間です」(4月10日、成田空港近くで記者会見)
●「(暴動がさらに拡大するなら、チベット指導者の地位を)私は退位する」「反中感情をこれ以上強めてはならない。我々は中国と良い関係を築き、ともに生きていかねばならない」(3月18日、インド・ダラムサラで記者会見)
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■チベットをめぐる主な動き
 7世紀初め   チベットに統一王朝「吐蕃(とばん)」が成立
17世紀半ば   ダライ・ラマ5世が政教一致体制を確立
18世紀後半   清(中国)の影響下に入る
1913年 2月 ダライ・ラマ13世が独立を宣言(中国は認めず)
  40年 1月 ダライ・ラマ14世が即位
  49年10月 中華人民共和国が成立
  50年10月 中国の人民解放軍がチベット東部への進駐を開始
  51年 5月 チベットを中国の一部とする17条協定を締結
  59年 3月 チベット動乱。ダライ・ラマ14世がインドに亡命
  60年 4月 インド・ダラムサラにチベット亡命政府樹立
  65年 9月 チベット自治区成立
  66~76年 文化大革命。チベットでの寺院破壊などが激化
  88年 6月 ダライ・ラマ14世が独立から高度な自治に要求を変更
  89年 1月 チベット仏教第2の活仏パンチェン・ラマ10世が死去
      3月 ラサで暴動が発生し、戒厳令を施行
      6月 天安門事件で国際社会からの非難が高まる
     10月 ダライ・ラマ14世へのノーベル平和賞授与が決定
  95年 5月 パンチェン・ラマ11世の認定で中国と亡命政府が対立
2000年 1月 チベット仏教第3の活仏カルマパ17世がインドに出国
  02年 9月 ダライ・ラマ14世の特使と中国政府が対話を開始
  08年 3月 ラサなどで大規模暴動発生
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■ことば
 ◇ダラムサラ インド北部の都市。中国軍のチベット進駐により、インドに亡命したチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が1960年に亡命政権を樹立した。当時、インドのネルー首相がこの街を用意したのは「閑静で平穏」な町であることが理由とされる。現在は6000人以上のチベット人が住み、亡命政府の各省庁のほか、大学、寺院、舞台芸術や医学の研究所などが置かれ、チベット文化の海外での拠点となっている。
毎日新聞 2008年11月20日 東京朝刊

2008年11月17日月曜日

「独立」派が発言力増す?亡命チベット人が臨時総会

「独立」派が発言力増す?亡命チベット人が臨時総会
(2008年11月17日20時12分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081117-OYT1T00569.htm?from=nwla



「独立」派が発言力増す?亡命チベット人が臨時総会
17日、ダラムサラでの臨時総会で、チベット人犠牲者に黙とうをささげる亡命政府代表者議会の議長ら=AP

 【ニューデリー=永田和男】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が招集した亡命チベット人の臨時総会が17日、インド北部ダラムサラで始まった。
 22日までの日程。世界各地から集まった代表約500人が今後の路線を討議する。
 「高度な自治」実現を求める中道的な対話路線が完全に行き詰まる中、「独立」を再び掲げようとする強硬派が発言力を増すことが予想される。
 総会の結論に法的拘束力はないが、AFP通信によると独立追求派の代表格、「チベット青年会議」のツゥエワン・リグジン議長は、「独立の大義への支持が強まるのを望んでいる」と述べ、総会を通じて政治的主導権を握る意欲を示した。
 ダライ・ラマ自身は総会に姿を見せない予定。
 ダライ・ラマは1988年に独立要求を放棄し、中国の枠内での自治実現を求める方針に転換した。だが、11月初めに北京で開かれた対話でも、自治拡大は独立につながるとして警戒する中国側との溝は埋まらず、ダライ・ラマも最近は、対話路線の「失敗」を認める発言を繰り返している。
 臨時総会では、73歳を迎えたダライ・ラマの後継問題も議論される見通し。中国当局がダライ・ラマの転生者を指定しようとする動きに対し、絶対反対の立場を確認するものと見られる。
(2008年11月17日20時12分 読売新聞)

2008年11月7日金曜日

中国:チベット問題担当「高度の自治」を拒否 亡命政府、反発も

中国:チベット問題担当「高度の自治」を拒否 亡命政府、反発も
(毎日新聞 2008年11月7日 東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/world/news/20081107ddm007030070000c.html

中国:チベット問題担当「高度の自治」を拒否 亡命政府、反発も
 【北京・浦松丈二】6日の新華社通信によると、中国共産党でチベット問題を担当する杜青林・統一戦線工作部部長は、北京でチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の代理人ロディ・ギャリ氏らと会談した。「チベットの独立、半独立、形を変えた独立は認めない」と述べ、ダライ・ラマが求める「高度の自治」を受け入れない立場を明確にした。
 亡命政府のあるインド北部ダラムサラでは17日から亡命チベット人代表による会議が開催される。中国側が従来の立場を堅持していることで、急進派の代表からダライ・ラマの対話路線への反発が強まる可能性がある。
 双方の協議は5日まで開かれた。杜部長はチベット統治について「民族による地域自治制度を堅持する」とし、香港やマカオのような「1国2制度」や連邦制、国家連合は行わないと強調。さらに「ダライ・ラマは、政治的主張を抜本的に正さなければならない」と要求。中国はダライ・ラマが求めるチベット自治区と周辺地域を含めた「大チベット」や独自憲法の制定を独立要求とみなし、拒否している。
毎日新聞 2008年11月7日 東京朝刊

2008年11月6日木曜日

日本も支援会議参加を 枝野氏らにダライ・ラマ

日本も支援会議参加を 枝野氏らにダライ・ラマ
(中国新聞 '08/11/6)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811060211.html

日本も支援会議参加を 枝野氏らにダライ・ラマ
( '08/11/6)
 来日中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ十四世は六日午前、都内のホテルで超党派の「チベット問題を考える議員連盟」会長の枝野幸男元民主党政調会長らと会談した。
 十四世は、対話継続の是非など今後の対中関係を議論するため亡命チベット人の代表らを集めて十七日からインドで開く緊急会議後に「世界のチベット支援団体からアドバイスを受けたい」と表明。「日本からも会議に参加してほしい」と述べた。議連関係者は参加を検討している。
 中国政府は、チベット独立の精神的象徴でもある十四世の来日受け入れそのものを「祖国分裂活動に場を与える」と批判しており、枝野氏らとの会談や支援団体会議への参加要請に反発するのは確実だ。
 今後の対中関係について十四世は「中国指導部は、暴動は私のせいだと言っている。私自身が前面に出ることで対話の妨げになる」と述べ、緊急会議などで議論を主導しない考えを明らかにした。
 また中国当局との対話に関しては「チベットを取り巻く状況は改善せず、チベットの独立を目指しているという中国指導部の疑いをなくすことにも失敗した」と述べた。



 まるで初耳、みたいな記事になっちゃってますが、この「支援団体会議」(=Special Tibet Support Group Meeting in Delhi)には、TSNJ参加団体から民間人のメンバー3人が既に参加を予定しています。簡単に「日本からも参加」といいますが、急に決まった海外での会議に、長期休暇も取りにくいご時世、燃料費高騰中の往復の航空券もすべて自己負担で、休みを取って海外に行くのは、かなりの条件がそろわないとできないことで、なかなか大変です。グローバルなチベット問題がどう問われているかの知識はもちろんとして、ある程度は英語もできないと全体の話についていけませんしね……。
 チベット問題を考える議員連盟(チベ議連)もTSNJ参加団体のひとつであるわけで、サラリーのための会社勤めをしているのではなく、政治活動に100%時間を使える方々にもご活躍いただければとは思いますけど(あまり政治色がつきすぎても嫌がる人もいるでしょうけどね)。あと、解散するのしないのでごたごたしている日本の衆院議員(と立候補予定者)の場合、まぁ今は年内はないってムードになってはいますが、現状、事務所は立ち上げちゃってるし週末ごとにミニ集会は入れちゃってるだろうし、チベット問題より自分の足元のドブ板だ、というのが正直なトコロと言っても仕方ないとは思います。はい。がんばれチベット……。
 国際チベット支援団体会議(ITSN:International Tibet Support Group Network)とは別に、チベット問題を考える国際議員連盟というのがあり、各国の国会議員どうしが横の連携をとっています。チベ議連はもちろんこっちでも活躍してるはず。3月にダラムサラを訪問したペロシ米下院議長みたいな人が頑張ってる会議です。

中国、ダライ・ラマ側との協議すれ違い

中国、ダライ・ラマ側との協議すれ違い
朝日コム2008年11月6日23時32分
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200811060265.html


中国、ダライ・ラマ側との協議すれ違い
2008年11月6日23時32分
 【北京=峯村健司、ニューデリー=小暮哲夫】中国国営新華社通信は6日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の特使ロディ・ギャリ氏と、中国共産党の杜青林・統一戦線工作部長が北京で会談したと伝えた。「真の自治」を求めるダライ・ラマ側に、中国側は一切の自治要求の取り下げを求め、話し合いはすれ違いに終わった。
 今回も協議に進展がなかったことで、インドで17日から、チベット独立を求める急進派も加わって始まる亡命チベット人の緊急会議では「対話を通じた自治獲得」という現行路線の見直しが大きな議題となりそうだ。
 杜部長は、チベットは香港のような「一国二制度」とは異なり、中国の法が定めた自治区の一つであるとし、「半独立」や「形を変えた独立」も認めないと断言。「ダライ・ラマは自身の政治主張を根本から改めて、いかなるチベット独立のたくらみや暴力活動も支持すべきではない」と求めた。
 一方、ギャリ氏も声明を出し、「真の自治のための覚書を中国に提示した」とした。しかし、亡命チベット人の緊急会議の直前であることから「会議の前には今回の協議について話さない」と、詳細を明らかにしなかった。
 ダライ・ラマ特使と中国との対話は02年から続いてきたが、今年3月のチベット騒乱を受けて臨んだ対話も成果なく終わり、ダライ・ラマ14世も「中国に失望した」「失敗だった」と述べていた。

2008年11月5日水曜日

【社説】チベット問題 対話の機運を絶やすな

【社説】チベット問題 対話の機運を絶やすなhttp://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008110502000082.html
(中日新聞 2008年11月5日)

【社説】チベット問題 対話の機運を絶やすな
2008年11月5日
 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世が自治拡大に向けた中国との交渉は「失敗だった」と述べた。三月の騒乱を機に再開された対話の中断は暴力を招きかねない。双方に自制を求めたい。
 ダライ・ラマ十四世は先月三十一日から八日間の日程で日本を訪問しており、東京などで講演する。三日の記者会見でチベットの自治をめぐる中国当局との対話で事態が好転しないことに、「近年、チベット人の批判が高まっている」と認めた。
 「中国政府への信頼はますます薄らいでいる」と失望感も表した。十七日にインド北部で亡命チベット人の代表者会議を開き、対話継続の是非を話し合うという。
 ダライ・ラマ特使と中国共産党統一戦線部との対話は今年五月から三回行われている。ダライ・ラマは対話に先立ち独立要求を放棄、「高度な自治」を求める立場を明確にし北京五輪も支持した。
 しかし、中国は「高度な自治」要求は事実上、チベット自治区や四川、甘粛、青海省のチベット族居住区を含めた「大チベット」再建構想だと批判を緩めていない。
 中国側は七月の対話でダライ・ラマ側がチベット独立を目指す急進派の暴力やテロを抑え込むことを受け入れたとしているが、ダライ・ラマ側は合意はないとするなど主張は平行線をたどっている。
 ダライ・ラマは記者会見で自らが進めてきた対話が成果を上げていないことに、チベット内で急進派の影響力が高まっていることを明かした。五輪閉幕後、チベット問題への関心を失っている国際社会に向け中国に対話推進の圧力をかけるよう訴えたものだろう。
 今年三月の騒乱事件も背景には二〇〇二年以来続いてきた中国とダライ・ラマ十四世側の対話が昨夏、中断したことがある。中国はその後、ダライ・ラマなど「活仏」の生まれ変わりを認定するには政府の許可が必要とする制度を設け、次のダライ・ラマ十五世を自らの主導で選ぶ姿勢を示した。
 それがチベット側の強い反発と急進派の台頭から流血の事態を招いた。非暴力と対話を掲げるダライ・ラマ十四世の影響力後退は対決の激化につながる。
 十四世は七十三歳と高齢で健康不安もある。中国は対話を引き延ばすのではなく、大国の度量を見せることはできないのか。双方とも暴力と流血ではチベット問題の解決はありえず、対話によってしか平和と安定がもたらされることはないことを銘記すべきだ。

チベット騒乱で55人に判決 中国新華社報道

チベット騒乱で55人に判決 中国新華社報道
(2008.11.05 Web posted at: 17:18 JST Updated - CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200811050049.html



チベット騒乱で55人に判決 中国新華社報道
北京(CNN)
 今年3月に中国チベット自治区ラサで起きた騒乱について、中国の裁判所は55人に有罪判決を言い渡した。中国国営の新華社通信が5日伝えた。ただし量刑は具体的に明らかにされていない。
中国当局は騒乱に関与した疑いで約1300人を拘束し、うち1100人を釈放、残りを裁判所の審理にかけた。放火や強盗、政府庁舎への襲撃に関与したとして、既に30人が実刑3年から終身刑までの判決を受けているが、今回判決を言い渡された55人に、この30人が含まれているか不明。
騒乱は3月14日、中国政府に抗議するチベット仏教僧らの平和的な抗議活動を契機に発生した。暴徒が車や店に放火するなか、活動参加者の一部が中国からのチベット独立を求め、同自治区などで拡大している漢民族の影響力に抗議。中国政府は騒乱制圧に乗り出し、民間人18人と警官1人が死亡したと発表した。ただしチベット亡命政府側は、死者数を140人としている。
中国政府は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世とその支持者が騒乱を扇動したと主張。ダライ・ラマ側はこれを否定し、チベット独立ではなく、伝統文化を保った正真正銘の自治を求めている、と反論している。

2008年11月4日火曜日

「対中対話 批判強い」 ダライ・ラマ 路線転換も検討

「対中対話 批判強い」 ダライ・ラマ 路線転換も検討
(北海道新聞 11/04 08:29)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/127105.html


「対中対話 批判強い」 ダライ・ラマ 路線転換も検討
(11/04 08:29)
(写真) 記者会見するダライ・ラマ14世=3日、日本外国特派員協会
 来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世は三日、東京都内で記者会見し、中国側との対話路線について、前向きな変化をもたらしていないことから「チベット人の間でも批判が強くなっている」と述べた。
 このためチベット亡命政府があるインド・ダラムサラで十七日から、亡命チベット人の代表らによる緊急会議を開き、対話継続の是非などを議論する意向をあらためて示した。
 チベット自治区の位置づけについてダライ・ラマは「独立は現実的ではない。高度な自治を要求しているだけだ」との姿勢を重ねて強調。中国側との対話が平行線をたどっていることに関し「私たちのアプローチはチベット問題の解決に効果的ではないという批判が、最近はチベットの中でも強くなっている」とした上で、今後は「さまざまな解決法を探るべきだ」と語った。

2008年11月3日月曜日

来日中のダライ・ラマ、「チベット自治拡大めぐる中国との対話は失敗」

来日中のダライ・ラマ、「チベット自治拡大めぐる中国との対話は失敗」
(AFP通信日本語版 2008年11月03日 17:13 発信地:東京)
http://www.afpbb.com/article/politics/2535048/3492250


来日中のダライ・ラマ、「チベット自治拡大めぐる中国との対話は失敗」
AFP 2008年11月03日 17:13 発信地:東京
【11月3日 AFP】来日中のチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ(Dalai
Lama)14世は3日、東京で記者会見し、チベット(Tibet)自治区の自治権拡大を目指してこれまで行ってきた中国政府との交渉が失敗に終わっているとの見解を示した。

 中国政府高官とチベット亡命政府の特使による最近の交渉を前に1週間の日程で来日中のダライ・ラマ14世は「中国政府に対するわたしの信頼は薄くなる一方だ。(チベットでの)弾圧は増えており、何事もうまくいっているようなふりはできない」と述べ、中国政府への不信感を表した。「(対話は)失敗だったと認めざるをえない。この間の数年、わたしたちのアプローチはチベット内に良い変化をもたらすことができなかったため、批判も増えている。人々の意見を聞く必要がある」
 世界各地の亡命チベット人コミュニティの代表による初の会議は17日に、亡命政府の拠点であるインド、ダラムサラ(Dharamshala)で開かれる。またその後には、法律家や各国の外相経験者といったチベット支持者による国際会議が、ニューデリー(New
Delhi)で行われる。これらの会議で、チベット亡命政府は対中方針を大幅に変更する可能性がある。(c)AFP

「チベットで私のやり方に批判」ダライ・ラマ14世

「チベットで私のやり方に批判」ダライ・ラマ14世
産経新聞2008.11.3 18:30
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081103/chn0811031832004-n1.htm



「チベットで私のやり方に批判」ダライ・ラマ14世
2008.11.3 18:30
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は3日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見し、今年3月のチベット騒乱以後再開されたダライ・ラマの特使と中国政府との対話が進展していないため、「チベット側でも私のやり方に批判が出ている」ことを明らかにした。インドでは17日から、世界各地の亡命チベット人が集まって新たな対中方針を話し合う特別会議が開催されるが、青年層を中心としたグループから強硬な意見が飛び出す可能性も否定できない。ダライ・ラマ側は会議をテコにして、中国側に「現実路線」への転換を求めたいところだ。
 ダライ・ラマは会見で、3月のチベット騒乱は「ダライ・ラマが指示した」などと温家宝中国首相らが批判しているとして、「私が本当にそうしたのかどうか、専門家を派遣し、調べてみればいい。私の講演や発言のテープなどを証拠として差し出してもよい」などと述べた。ダライ・ラマは「私がチベットを中国から分離させようとしていないことは、中国以外のすべての人々が知っている」として、中国側を批判した。
 ダライ・ラマは中国政府との対話について「まったく何も変わっていない。失望した」などと述べ、亡命チベット社会のなかで急進的な意見を持つ青年層を中心に、ダライ・ラマの非暴力主義や対話路線に批判が出ており、自らの立場が苦しくなっていることを強調した。
 在京のチベット関係筋によると、亡命チベット人社会では青年層を中心に、ダライ・ラマと意見を異にするグループが一定の勢力に成長し、最高指導者としてのダライ・ラマの求心力の低下も指摘されているという。
 17日からの特別会議で従来の対中対話路線が変わるかどうかに関して、ダライ・ラマは「まったく予測できない」としたうえで、「私が会議で発言すると、だれも発言できなくなる。私は沈黙し、中立の立場を守る」と述べた。ダライ・ラマとしては、会議で強硬な意見が出るのを放置し、それを中国側に見せつけることによって中国側の軟化を促したいようだ。
 ダライ・ラマは会見で「中国政府はわれわれとの関係が悪化する前に、新たな現実的な見地から話し合いを再スタートさせるべきだ」と、中国政府に方針転換を重ねて求めた。
       (相馬勝)