2008年11月22日土曜日

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止
朝日コム2008年11月22日21時38分http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200811220232.html

亡命チベット人会議、現行路線維持 特使派遣は中止
2008年11月22日21時38分
 【ダラムサラ(インド北部)=小暮哲夫】インドのダラムサラで開かれていた亡命チベット人による特別会議は22日、中国との対話で高度な自治の獲得を目指す「中道路線」を継続するものの、現行の協議を不満とし、特使の派遣を中断すべきだとの提案を採択した。また、中国側が前向きな対応をしなければ、独立要求をする以外に選択肢はないとしている。しかし、中国側が歩み寄る可能性は低く、打開への道筋は見えない状況だ。
 提案はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世に提出される。これを受けてダライ・ラマは23日に会見を予定しており、発言内容が注目されている。
 提案はまず、ダライ・ラマについて「内外のチベット人の指導者であり、引き続き指導者の地位にあることを求める」とし、ダライ・ラマの決定には従うと明記。これまでの「中道路線」への支持が多数だとしたうえで、中道路線が成果を出せない場合には独立要求路線に転じる含みを残した。記者会見した亡命チベット代表者議会のドルマ・ギャリ副議長は、対話の中断について「今やボールは中国側にある」と述べた。
 今回の会議は、中道路線の行き詰まりに批判が出始めた中で、今後の路線を議論するためにダライ・ラマが招集した。参加者によると、議論をした15の分科会では「中国は自治要求を拒絶した」「チベットは歴史的に独立国家だった」といった意見が独立要求派から出た。しかし、独立要求は全体の2、3割程度にとどまったという。
 背景には、中国が実質的な自治すら認めない状況で「独立要求は困難」との現状認識がある。参加者のテンジン・チョウゲルさん(37)は「独立はみんなの理想だが、流血の事態を防ぎ、前向きな結果が見込めるのは自治を求める路線だ」と話した。
 各分科会では、国際社会に中国の「圧政」への理解を深めてもらう努力や、一般の中国人との協力関係構築を説く意見が相次いだ。内外からの圧力で、中国政府に前向きな変化を促す狙いだ。
 ダライ・ラマにとっては今回の会議は、過去には目立たなかった自らの路線への批判が顕在化する中で「自らの求心力を再確認する意味があった」と、会議に参加したペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授は指摘する。議論を通じて亡命チベット人の団結を促す狙いもあったようだ。
 会議では結局、ダライ・ラマの現行路線が支持された形だが、中国との対話の中断が効果を生む可能性は低く、手詰まり感は否めない。
 急進派のチベット青年会議のリグジン総裁は「我々の組織は独立を求め続ける」と話しており、状況の進展がなければ一気に独立要求派が力を得る可能性もある。

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